一昨日、葉山・無垢のスタッフミーティングが行われました。
これは第2回目だそうです。(第1回目はまだ関わっていなかったので詳細はわからないけど)オープンから半年経って、なんとなくできてきた店の仕組みをマニュアルをつくり可視化し、スタッフからも改善点を聞くというものでした。
葉山・無垢は、藤本工務店という弱冠20代の藤本嶺社長の事務所併設のショールームが店舗です。店舗のつくりは藤本社長の匠の技で一流料亭の佇まいになっております。単なるショールームでなく、飲食店にしたことによって、ここで日銭が入りますし、食事に来たお客様が家のリフォームを依頼するきっかけになっており、相乗効果を狙った点では、工務店としては新しいビジネスモデルだと感心しました。
さて、事件は10月に起きました。おそらくはどの飲食店もそうだったのではないかと思うのですが、売上が激減し、本体から補填しなくてはいけない事態になったわけです。経験が長いとまあそんな月もあるよね、と長い目で見れるのですが、まだ半年ですから、そうとう驚いたのではないかと思います。とても社長の偉いところは、これを隠そうとしないで、スタッフにも外部のブレーンにもどうしたらいいかと尋ねたところにあると思います。たいてい、男性は、プライドがあるので、どんなに火の車でも「武士は食わねど高楊枝」で、数年頑張りしんどい思いを引きずるみたいですね。あ、私もそうでしたけど(笑)
早急に改善策を出し、11月の売上はこれまでの売上の中で一番いいランクに復活しました。
打開策として一番功を奏したのは、やはり夜の営業でしょう。葉山の山の入り口にある、人よりも猪の方がいるのではないかというローケーションでは夜はお客様が来ないだろうと、予約のみの営業でした。蓋をあけてみると、意外にお客様がふらっといらっしゃるのです。ご家族の会食が多いのですが。
板長(社長のお父様)が朝、漁港に行き、ランチをやり、夜も通しで営業すると身体がもたないからと心配していた息子社長。それはそうですが、そんなことでは、店自体が潰れるから、とりあえずお父様には無理ない範囲で頑張っていただくことになりました。板長の頑張り、感謝です。
飲食店は大変だね、とよく言われるのですが、大変ですが、そんなに大変がることもないのではないかと最近思います。家賃が非常に高いところ、異常に広い店でやると、ハードルは飛べないところまで上がってしまいますけれど。普通の家賃で小さめの面積なら、きちんと考えればやっていけるんじゃないかと感じています。
だいたい、3つのことを常に行っていれば、軌道は大きくそれません。
①無駄をなくす。
②オーナーの熱い思いをお客様とスタッフに伝える。
③常に仕掛ける。
あ、美味しい料理ときちんとした接客はマストです。
作成したマニュアルですが、いわゆるスタンダードなのでこれに縛られる事はないという一言はなかなかいいと思い、ほっとしました。(マニュアル嫌いな私としては)。スタッフと経営陣との質疑応答で最後にスタッフのMさんから、「社長は、この店をどうゆう店にしたいと考えているのですか?」という質問が出て、私は感激しました。いいスタッフです!社長と板長とスタッフとお客様と店の佇まいの間に、店のコンセプトがかなりぶれていたのは確かです。
「相模湾でとれた新鮮な魚を無垢な空間で食べられる店」
でありたいと。魚の美味しいを伝えたいと。無垢な空間は、一度お越し頂いた方は感じると思いますが、とてもいい気が流れています。
他の飲食店経験のある人たちがこの店で働くと、緩さにまず驚きます。私も最初は驚いたのですが、この緩さ、実は、経営陣の優しさなんだなと苦笑しています。ほんとに優しい(涙)。そしてアルバイトの方々がいい人たちで、緩さに甘えずしっかり切り盛りしている良いバランスです。まず、無駄をなくす癖をつけていくことからですね。同時に2ヶ月先の仕掛けも考えていくことですね。
無垢ではいつも、板長が、楽しそうに魚を裁いています。
今日の魚、みてみて! 旨そうだろ! 旨いんだよ! ね、ね、食べてみる?どう? うまいだろ? これ築地じゃ倍だよ。ここらへんでは食べられないよ! 魚大好きな板長が、きゃっきゃしながら、毎日飽きる事なく魚裁いています(笑)おかげさまで、魚の名前と味をずいぶん知る事になりました。
日々の作業の可視化と社長の思いの可視化がどう影響していくか、たのしみですね。